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Diary of Heavenly-Alica

双頭の悪魔

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☆双頭の悪魔:有栖川有栖(推理)

 今でも有栖川有栖氏の「月光ゲーム」と「孤島パズル」を読んだときの衝撃は忘れられません。題名に「ゲーム」「パズル」とあるように、これらの作品は純粋な「フーダニット」、犯人当て小説です。「読者への挑戦」もありますし。といって、単なるクイズ文・データの羅列ではなく、小説、物語として充分に楽しめる作品なのです。天才ですね。

 そして極めつきがこの「双頭の悪魔」です。
 はっきりいって「究極のフーダニット」、「完全なるパズル空間」です。
 橋が落ちて行き来できなくなった山村と芸術家村、双方で起きた3つの殺人事件の話です。
 完璧な論理をもって与えられた情報を整理、積み上げをすると、「その人物以外は犯人でありえない」という結論に到達するはずなのですが、そこまで辿り着くのが難しい。合計3つの「読者への挑戦」が提示されています。

 これはドラマ(映画?)にもなっていて、珍しく原作に忠実に作られていましたが、よく考えりゃいじりようがないですね。容疑者の人数を減らす以外、どこをどういじっても物語が論理的に破綻しますから。

 この方の小説のほとんどは、「有栖川有栖」通称「アリス」という、作者と同姓同名の人物の一人称での独白で進行します。その「アリス」氏の学生時代には「江神二郎」というミステリー同好会の先輩が、社会人(推理作家)になってからは「火村英雄」という臨床犯罪学者が探偵役として登場します。
 が、この2つの時代の2人の「アリス」氏は同一人物ではなく、パラレルワールドの住人、というか、どうやら学生時代の「アリス」氏が推理作家になって書いた作品の登場人物が、社会人(推理作家)の「アリス」氏と「火村英雄」助教授、ということのようです(...たぶん)。



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